すべてを新しくする前に、販売方針、既存状態、購入者が触れる場所、工程リスクから改修の優先順位を組み立てます。
工事項目より先に販売方針を言葉にする
再販リノベーションの予算は、設備ごとの相場を足すだけでは決まりません。想定する購入者、物件の価格帯、販売を始めたい時期、既存の魅力として残したい部分を最初に共有します。方針が曖昧なまま仕様を選ぶと、目立つ箇所へ予算が偏り、必要な補修や工程に余裕が残らないことがあります。
横山太陽は、不動産販売・リノベーション会社の営業部部長として月10棟・年間80億円の売上を達成し、その後は法人物件の施工管理部門で責任者を務めました。この経験を、販売方針と施工条件を同じ場で検討し、物件ごとの仕様と予算を組み立てるために活かします。
残す・補修する・交換するの三つに分ける
現地では、内装、設備、建具、収納を一律に古いか新しいかで分けず、継続使用できるもの、補修で整えられるもの、交換が必要なものに分けます。機能上問題がない設備でも、周辺工事との取り合いや部品供給によって判断が変わります。
既存を残す場合は、交換費用を抑えられる一方、清掃や補修の費用、保証の扱い、他の新しい仕上げとの見え方も確認します。交換する場合は、本体価格だけでなく撤去、搬入、下地、配管・電気、廃材、納期まで見ます。
予算を四つの箱で整理する
予算は、第一に安全や機能に関わる工事、第二に劣化への対応、第三に購入者がよく触れたり目にしたりする部分、第四に予備費という四つの箱で整理すると検討しやすくなります。建物ごとに順番は変わりますが、予備費を最初からゼロにしないことが重要です。
表面を整える工事だけで予算を使い切ると、解体後に見つかった下地や設備の問題へ対応できません。見積りの未確定項目と、どの時点で確定するかを一覧にします。
工程の余白も予算の一部と考える
販売開始日から逆算するときは、現地調査、仕様決定、管理組合への申請、資材手配、施工、検査、是正、撮影準備を並べます。資材納期や申請期間を考慮せず着工日だけを詰めると、仕様変更や手待ちが生じ、費用にも影響します。
工期を短くするために材料を変更する場合は、価格だけでなく耐久性、色、既存材との納まりを確認します。変更内容と理由を記録しておけば、担当者が変わっても判断を引き継げます。
内装事例は工事項目の参考として使う
内装工事の一例として、江東区ではクロス・床などを891,000円・30日間、台東区では床・独立洗面台などを1,667,160円・30日間で施工しました。床、壁、水回り、収納のどこまでを整えるか、工事項目を考える際の参考にできます。
事例と自社物件を比較するときは、面積、下地、設備、材料、管理規約、搬入条件をそろえて見ます。金額だけを平米単価や定額パックへ置き換えず、図面、写真、希望予算を使って個別に範囲を組み立てます。

